3DCG を始めよう

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3DCG のすゝめ

いつの間にか身近になっていたフォトリアル 3DCG

3DCG とは three-dimensional computer graphics の略であり、コンピュータで生成した三次元の映像です。つまり、写真や動画のようなものを人工的に作ってしまうわけです。とはいえ、本当に写真のように見える (photorealistic) ものをレンダリングするには強力なマシンパワーが必要なので、3DCG といえば機械的、抽象的な雰囲気をあえて強調したようなものが一般的でした。2009 年の映画「アバター」は先進的な CG 技術で話題を集めましたが、やはり青くでこぼこした現実にはない姿だからこそ、という部分はあると思います。

しかし、この 10 年間で時代は大きく変わりました。映画では既に、実写でも可能そうなシーンでも制作期間短縮などのために 3DCG が多用されるようになっています。そして、ハードウェアの高性能化やフォトリアルな出力に強みをもつレンダリングエンジンの普及によって、個人でもフォトリアルな 3DCG 制作を気軽に楽しめるようになったのです。

趣味としての 3DCG という可能性

私は先週から、なんとなく 3DCG を始めてみています。そして、心底驚きました!

まずはこれを見てください。なにかが透けて見えるようで恥ずかしいですが、以下は Daz Studio というソフトで出力した画像の例です。圧縮ノイズが目立ちますが、サーバ容量の制限が厳しいのでどうかご容赦を。

Daz Studio サンプル 1

Daz Studio サンプル 2

Daz Studio サンプル 3

あのーー、不気味の谷はどちらでしょうか?? このへんにあると聞いていたのですが、見当たらなくて......

慣れた方からすれば至らぬ点は多いかと思いますが、7 年前のおんぼろ PC の CPU レンダリングで、2・3 日の経験で、完全に無料でここまでできるとしたら、なかなか驚異的なことではないでしょうか?

そうです、私には先日までなんの経験もありませんでしたし、持っているデスクトップ PC は Core i3-4130 のおんぼろマシンくらい、使ったのは無料のソフトだけです。それでも、ここまでのことができるのです。

たまげました。

趣味としての 3DCG の長所・短所

私は以前写真に手を出していたことがあり、絵にも手を出そうとして失敗したことがあります。その経験から、趣味としての 3DCG の長所・短所を考えてみると、以下のようになります。

写真と比較して

長所

  • 現実ではありえない画像をつくることができる。
  • 現実の人や動物が被写体ではないため、時間をかけてじっくり試行錯誤することができる。
  • まとまった時間は必ずしも必要ではない。
  • 権利関係が比較的クリア。
  • 家で一人で完結できる。仮に GTX 2080 で一台組んだとしても、写真に本格的に取り組むのと比べれば安上がり。

短所

  • なんともいえない違和感がある。
  • 被写体はすべて自分で構築するので、偶然の発見はない。
  • 現実的には写真と同じように情報量の多い画像をつくることは非常に困難。構図やライティングにも制限が多い。
  • どんな写真にも記録としての価値があるが、3DCG にはそれが一切ない。

絵・イラストと比較して

長所

  • 練習なしに、今日から人に見せられるレベルの出力を得られる。
  • 市販のアセットを購入して使いまわすことで大幅な省力化ができる。

短所

  • 表現の幅が狭い。
  • 差別化が難しい。
  • 手描きの漫画のようにすばやく制作することはできない。
  • 絵やイラストのような需要はない。

3DCG を始めるには

ソフトウェア

Blender

3DCG で遊ぶには 3DCG 専用の特別なソフトウェアが必要です。幸い、素晴らしいソフトウェアを無料で利用することができます。

まず最初にインストールすべきは、なんといっても Blender でしょう。

Blender はオープンソースの 3DCG 制作ソフトであり、非常に多くの機能を備えた本格的なソフトです。映画製作の現場で使われるようになってきているほか、CAD として使うこともできることから 3D プリンタの利用者にも人気があります。また、「エヴァ」のカラーが Blender への移行を進めているように、アニメ制作への応用も可能であるようです。

古くからあるソフトですが、今年 6 月に企業ユーザからの要望で 2 年間の長期サポートが提供される LTS バージョンが追加されるなど、最近一気に盛り上がってきているソフトです。

使いこなすことは容易ではなく、私もまだ全体像を掴むことすらできていませんが、非常に有名なソフトであるため情報は多く、検索しながらなんとなく使うことができます。まだ自分で何か役に立つものをモデリングできるようになるには至っていませんが、そのままでは使えない古い 3D モデルの調整などに非常に便利です。

DAZ Studio

Blender を使いこなすことは難しく、単純な趣味ではなかなかモチベーションが続きません。そこで、Daz Productions, Inc / Daz 3D が提供する初心者向けのソフト、Daz Studio の出番です。「DS」や「D|S」と略称されるほか、単に「Daz」と呼ばれていることもあります。

Daz Studio は特に人や人型のキャラに特化した3DCG 制作ソフトで、あらかじめ用意されている「フィギュア」を調整するだけで誰でも簡単にオリジナルのキャラを作ることができます。Inverse kinematics (IK) 機能により数値と向き合わずとも手足をマウスで引っ張るだけで自然なポージングを(ある程度)実現でき、公式・非公式の有料 3D アセットが多く用意されているほか、有志が無料で公開してくれているものを使ったり、かつて人気があった Poser 用や汎用フォーマットの 3D モデルをインポートして使うこともできます。

かつては有料で販売されていたソフトですが、現在はメールアドレスの登録だけでフル機能を無料でつかうことができます。機能面でも抜かりがなく、NVIDIA が提供するフォトリアル指向のレンダリングエンジン「Iray」に対応し、自然でリアルなレンダリングが可能です。

ハードウェア

Daz Studio・Iray でのレンダリングを本格的に行うにはどうしても 6 ~ 8 GB の VRAM を搭載した NVIDIA グラフィックボードが必要になるようですが、CPU レンダリングにも対応しているため、普通の PC でもあまり多くのものを読み込まず出力も 500 x 500 程度の小さな画像にするのであれば現実的な必要時間で可能です。

私がいま使っているのは 2013 年発表の Core i3-4130 が CPU で RAM は 8 GB のおんぼろデスクトップですが、これでも工夫をすればそこそこ使えます。ノート PC でも性能の上では問題ないと思いますが、長時間にわたって高負荷をかけることになるので、冷却に余裕があるデスクトップ PC、できればパーツの交換が容易な BTO や自作の PC を使うことを強くお勧めします。

なお、Iray の GPU レンダリングには必ずしも最新の GPU は必要ありませんが、VRAM 容量の要求がかなり激しく、足りなければ CPU レンダリングに切り替えられるため、中途半端なグラフィックボードは全く役に立ちません。私の PC には VRAM 2 GB の GTX 760 が入っており、ゲームであればそれほど不満はありませんが、どれだけ設定を詰めたり読み込むものを工夫したりしても GPU レンダリングができるケースはほとんどありません。

3DCG を始めよう!

長らく 3DCG には興味がありましたが、実際に始めてみるとあっけないほど簡単です。もちろんこの先には Blender の険しい道が待ち構えていますが、とりあえず門をくぐることはできたようです。絵は門に入ることもできずに丸や四角を描いただけで終わったことを考えれば、実に素晴らしいことです。後悔といえば、どうしてもっと早く始めなかったのかということだけ。

折しも自宅で楽しめる趣味の重要性が増している時期です。趣味としての 3DCG の布教のためにも、メモをブログとして公開することにしました。

このブログでは、初心者が試行錯誤する中で知ったことを簡単に書いていこうかと思います。解説やノウハウといった役立つものではありませんが、私のメモが後に続く誰かの役に立てば望外の幸せです。